ドラマ「金田一少年の事件簿N(neo)」(山田涼介Ver)【第7話”雪影村殺人事件”感想】原作ほど感傷的にはなれなかった

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ドラマ「金田一少年の事件簿N(neo)」(山田涼介Ver)【第7話”雪影村殺人事件”感想】原作ほど感傷的にはなれなかった

※この記事は<2022年5月4日>に執筆したものを再掲載したものです※

原作単行本では1冊分だった「雪影村殺人事件」(Caseシリーズ4作目)。直近では読み返してはいないが、いつになく感傷的なはじめとその旧友たちの物語だと記憶している。

ドラマの冒頭では美雪も雪影村に行くのかと思い不安になったが(原作にはない美雪の出番を入れると大幅な改変がありそう)、今回は同行せずお留守番で安心した。代わりになぜか佐木や真壁が同行してきたが(のちに剣持警部も登場)、美雪が来るよりは良かったかとも思う。

今回の事件ははじめはかつて滞在していた雪影村へと向かい、その時に同じ時間を過ごした旧友たちと久しぶりに会うところから始まる。再会を喜び合ったのも束の間、旧友の中に春菜の姿がないことに気付くはじめ。実は彼女は1年前に自殺をしていたという…。

それだけでもはじめがやり切れない気持ちになるには十分なのに、ひとり、またひとりと旧友たちが殺されていくからたまったものではないだろう。そんなはじめを心配そうに見守る佐木たちや剣持警部。普段見られないはじめたちを目にすることができる貴重な回でもある。

そしていつものごとく、やがて犯人も分かり、謎も解けた。しかし、犯人が旧友たちの中にいただけに、いつも以上にやりきれない様子のはじめが見ていてとても切なかった。

原作の感傷的な印象を持たせつつ、うまくまとめてあり、とても丁寧に作品が作られている。それでいて、冒頭とエンディングではいつものおちゃらけた感じにしているのも良かった。

ただ、原作ほど心にきゅっと来なかった。なぜかとい考えてみたら、旧友たちに対してじゅうぶんな思い入れを感じられなかったからだろう。はじめにとってみれば大切な日々を過ごした、大切な旧友たちかもしれない。だが、佐木たちにとってのはじめの旧友たち、と似たような感覚でしか見れなかったのだ。

佐木たちがはじめを思いやる場面は良かったが、彼らを雪影村に来させた意味自体はあったのだろうかとも思ってしまう。その分、旧友たちのエピソードが少なくなり、思い入れもそれほど感じられず、はじめほど感傷的にはなれなかったのかもしれない。

旧友の一人、都がなんとなくはじめを意識している風のいくつかの描写も良かったが、それにしては最後に駅まで見送りに来なかったのにも疑問が残る。彼女に限らず、旧友たちが誰も来てないことも同様。代わりに美雪がなぜかはるばる雪影村の駅にやってきてるのも違和感があった。いつものおちゃらけた彼らを描く場面自体はいいが、それなら不動高校でのそういう場面にすれば事足りる気がする。

また、これはドラマに限ったことではないかもしれないが、まず数珠のこと。じぶんの以外の全員の数珠をどうやって盗むことができたのか。そして、犯人の殺人動機があまりにも短絡的過ぎる気がする。キーパーソンの春菜もあれでは早とちりが過ぎるように見えてしまうので、そのあたり彼女が思い悩んでいるエピソードをもっと描いてほしかった。

原作で好きだった話だけに細かいところが気になってしまったが、ドラマ単体で見ると印象に残る話になっているとは思う。だが、今回はじぶんの中ではどうしても原作に軍配が上がってしまう。ここ最近は読み返してはないから美化されてるだけかもしれないので、これを書き終えた後に改めて読み返してみようと思う。

山田涼介くんのはじめちゃんたちが織り成す「金田一少年の事件簿N」も次の話でとうとうドラマシリーズも見納め。大きな期待(と少しの不安)を抱きつつ見ていきたい。