SPドラマ「金田一少年の事件簿」(山田涼介Ver) 【「獄門塾殺人事件」感想】なぜか物語に深さを感じなかった

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SPドラマ「金田一少年の事件簿」(山田涼介Ver) 【「獄門塾殺人事件」感想】なぜか物語に深さを感じなかった

※この記事は<2022年4月30>に執筆したものを再掲載したものです※

ドラマシリーズが始まる前の約2時間のスペシャルドラマ「獄門塾殺人事件」。(この作品以前にスペシャルドラマ「香港九龍財宝殺人事件」放送済。今回登場する李さんもその時に知り合ったらしい)

今回は主にマレーシアが舞台。はじめの天敵でもある地獄の傀儡師、高遠も登場。合宿所内部の作りもいつも以上に凝ってるし、トリックに関しての原作からの再現もかなり気合が入ってる!!・・・はずなんだけど、見終えた今。感想を書こうとする時の高揚感がいまいち足りない、この話。なぜだろう。書きながら考えていきたい。

ひょんなことで獄門塾に入塾させらたはじめ。そしてもちろん美雪もいっしょだ。なぜか浮かない顔をしている佐木もいる(カメラも持ってない)。やがて一行は強化合宿ということでマレーシアへ。(この塾の定例ということだがなぜわざわざ外国の合宿所へ行くのかという疑問がまず沸くが、最後まで語られなかった)

携帯を預け、必要最低限の持ち物だけを持たされた上、はじめと佐木は文系で太陽ロッジ、美雪は理系で月光ロッジと離ればなれになる。カリキュラムもそれぞれ異なり、スケジュールも綿密に決められており、個人部屋もほとんど独房。そんな過酷な状況の中で合宿が始まる。

トリックはさすが「地獄の傀儡師」の発案なだけに緻密で複雑だった。だがそれゆえに、はじめの「謎はすべて解けた!」からトリックの種明かしの場面までがとても長く感じた。その分、個人的には「金田一少年」の肝だと思っている犯人の動機が語られる場面が、とても短かく感じのだ。きっと切ない話なのに、ちっとも!と言っていいぐらいに特に感情が湧かなかった。言い変えると、沸騰する前に火を止められたお湯のような印象なのだ。

なぜこんな風にこの作品をこうも味気なく感じたのか。あえて理由を語ろうとしたら「動機の語りが短かかったから」になってしまうが、長かったらまた違ってたのか、結局のところは分からない。でも、「何か」が足りないそんな作品だった。

とはいえ、佐木の苦悩とはじめが彼を思いやるところはとても良かった。犯人よりもそっちのが感情を揺さぶられた。この佐木くんは佐木くんであって、佐木くんじゃないような気もしないでもないが、それでも二人の関係はとてもいいと思った。それでいておちゃらけはじめも推理モードのはじめも健在だし、はじめ自体には何ら不満はない。だからドラマシリーズにもつながったのかもしれない。

さて、おそらく初見だった山田涼介くんバージョンの「金田一少年の事件簿」も来週から後半戦が始まる。(Tverでは明日5月1日から5話以降配信予定。※執筆当時)大きめの期待と少しの不安を抱きつつ、最後まで見届けたい。

追伸:
キャスティング的には、高遠役に成宮寛貴さん(再活動してほしい。「相棒」ほか出演)、濱さん役に波留さん(「未来への10カウント」出演中。ほか「優しい嘘」「ナイトドクター」等)、中屋敷役に前田公輝さん(NHK朝ドラ「ちむどんどん」出演中。ちなみに5代目「金田一」第1話に出演の前田航基さん(まえだまえだ・兄)とは別人。)、氏家先生に北村一輝さん(今回は癖少な目の癖多め役者さん。「SPEC」等)、堂島先生に笠原秀幸さん(つい先日「家政婦のミタゾノ」「正直不動産」出演)と馴染みの顔も多く、この点で大いに楽しめた。